「素因数分解のやり方を忘れてしまった」「約数の個数を求める問題でつまずく」——素因数分解は、中学数学で習う基本的な計算ですが、手順を忘れてしまうと手が止まりやすい単元です。
この記事では、素因数分解のやり方を、素数の意味から、小さい素数で順に割る手順、因数分解の木の書き方、約数の個数の求め方まで、具体例つきで解説します。読み終えれば、どの整数でも迷わず分解できるようになります。
素数とは
素数とは、1より大きい整数のうち、1とその数自身以外では割り切れない数のことです。小さい順に並べると次のようになります。
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, ...
| 数 | 素数か | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 素数ではない | 1とその数自身が同じ数のため |
| 2 | 素数 | 1と2以外では割り切れない(唯一の偶数の素数) |
| 4 | 素数ではない | 2で割り切れる(合成数) |
| 9 | 素数ではない | 3で割り切れる(合成数) |
1は素数に含めません。また、素数以外の2以上の整数は「合成数」と呼びます。
素因数分解とは
素因数分解とは、整数を素数の積だけで表すことです。たとえば 360 は次のように表せます。
360 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 5
同じ素数をまとめて、指数を使った形にもできます。
360 = 2³ × 3² × 5
このように、すべての2以上の整数は、順番の違いを除けばただ一通りに素数の積で表せます(素因数分解の一意性)。分解に使う一つひとつの素数を「素因数」と呼びます。
素因数分解のやり方
素因数分解は、小さい素数から順に割っていくだけです。手順を整理しましょう。
- 2で割れるか確認し、割れるだけ割る
- 次に3、5、7、11…と小さい素数で順に試す
- 商が素数になったら終了
- 割った素数をすべて掛け算の形にまとめる
「どこまで試せばいいのか」と迷ったら、商の平方根までを目安にしてください。たとえば商が 97 なら、10 × 10 = 100 > 97 なので、10以下の素数(2、3、5、7)で割り切れなければ 97 は素数と確定します。大きな数でも試す回数が限られるので、手計算でも現実的な手順です。
例1: 360を分解する
360 ÷ 2 = 180
180 ÷ 2 = 90
90 ÷ 2 = 45 (2はここまで)
45 ÷ 3 = 15
15 ÷ 3 = 5 (3はここまで)
5は素数なので終了
割った数を集めると 360 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 5、指数の形で 2³ × 3² × 5 です。
例2: 990を分解する
990 ÷ 2 = 495 (2は1回)
495 ÷ 3 = 165
165 ÷ 3 = 55 (3は2回)
55 ÷ 5 = 11 (5は1回)
11は素数なので終了
答えは 990 = 2 × 3 × 3 × 5 × 11、指数の形で 2 × 3² × 5 × 11 です。
例3: 504を分解する
少し大きな数で練習します。
504 ÷ 2 = 252
252 ÷ 2 = 126
126 ÷ 2 = 63 (2は3回)
63 ÷ 3 = 21
21 ÷ 3 = 7 (3は2回)
7は素数なので終了
答えは 504 = 2³ × 3² × 7 です。約数の個数も (3+1) × (2+1) × (1+1) = 24個 と求められます。
因数分解の木を書く方法
手順を視覚的に整理したいときは「因数分解の木」を書きます。360 なら、まず 360 を 36 × 10 に分け、さらに 36 を 6 × 6、10 を 2 × 5 と分けていき、すべて素数になるまで続けます。
360
├─ 36 ─┬─ 6 ─┬─ 2
│ │ └─ 3
│ └─ 6 ─┬─ 2
│ └─ 3
└─ 10 ─┬─ 2
└─ 5
木の先端に並んだ素数をすべて掛けると 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 5 になり、順に割る方法と同じ答えになります。どちらの方法でも構いませんが、計算ミスを減らすなら小さい素数で順に割る方法が確実です。
よくある間違い:1を素数として数えてしまう、割り切れなくなった商(素数)を掛け忘れる、4や9などの合成数で割ってしまう、の3つが代表例です。割る数は必ず素数を使い、最後の商も素数かどうか確認しましょう。
約数の個数の求め方
素因数分解ができると、約数の個数も簡単に求められます。各素因数の指数に1を足して、すべて掛け合わせるだけです。
360 = 2³ × 3² × 5 の場合:
- 2の指数は3 → (3 + 1)= 4
- 3の指数は2 → (2 + 1)= 3
- 5の指数は1 → (1 + 1)= 2
- 約数の個数 = 4 × 3 × 2 = 24個
なぜこの式で求まるのかというと、2は「0個使う〜3個使う」の4通り、3は3通り、5は2通りあり、その組み合わせがすべて異なる約数になるからです。たとえば 2¹ × 3⁰ × 5⁰ = 2 も、2³ × 3² × 5¹ = 360 も約数で、4 × 3 × 2 = 24通りの組み合わせがそのまま約数の個数になります。
練習: 180の約数の個数
180 = 2² × 3² × 5 なので、(2 + 1) × (2 + 1) × (1 + 1) = 18個 です。
検算のコツ:素因数分解は、最大公約数・最小公倍数を求める問題でも使います。2つの数の素因数を並べて比べると、共通する素数が最大公約数、すべてを合わせたものが最小公倍数の材料になります。
素因数分解の利用場面
素因数分解は、ほかの計算問題の下準備としても活躍します。
- 最大公約数:2つの数の共通する素因数を取り出して掛ける(例: 24 = 2³×3、36 = 2²×3² なら共通は 2²×3 = 12)
- 最小公倍数:2つの数の素因数をすべて集め、指数は大きいほうを取る(例: 同じ24と36なら 2³×3² = 72)
- 約数の個数:本記事で解説した「指数+1の積」で計算する
- 約数の総和:各素因数の「1 + p + p² + …」を掛け合わせる発展的な使い方もある
このように、素因数分解を正確にできると、約数や倍数に関する問題全般が解きやすくなります。
素因数分解を計算する手順
Tools Hubの素因数分解ツールなら、整数を入力するだけで、分解結果と約数の個数が表示されます。
整数を入力
分解したい2以上の整数を入力します(最大15桁)。
積の形と指数の形を確認
「2×2×2×3×3×5」のような積の形と、「2³×3²×5」の指数の形が表示されます。
約数の個数も確認
約数の個数と素数判定もあわせて表示されるので、宿題の検算に使えます。
この記事で紹介したツール
素因数分解ツール
積の形・指数の形・約数の個数・素数判定をまとめて表示。ブラウザ内で完結します。
まとめ
- 素数は「1とその数自身以外では割り切れない、1より大きい整数」(1は素数ではない)
- 素因数分解は、整数を素数の積だけで表すこと(2以上の整数は一通りに表せる)
- やり方は「小さい素数から順に割る」だけ。最後の商が素数なら終了
- 指数の形(2³×3²×5)にまとめると見やすい
- 約数の個数は「各指数に1を足して掛ける」で求められる
- Tools Hubの素因数分解ツールなら答えと約数の個数をすぐ確認できる
素因数分解が必要になったら、この記事の手順かTools Hubの素因数分解ツールを活用してください。
よくある質問
なぜ1は素数ではないのですか?
素数は「1とその数自身の2つでしか割り切れない数」と定義されます。1は1つしか約数を持たず、この条件に当てはまらないため素数ではありません。
素因数分解の答えは1通りですか?
はい。順番の違いを除けば、すべての2以上の整数は素数の積としてただ一通りに表せます。この性質を「素因数分解の一意性」と呼びます。
約数の個数はどうやって求めますか?
素因数の指数に1を足して掛け合わせます。360 = 2³×3²×5 なら (3+1)×(2+1)×(1+1) = 24個です。
大きな数の素因数分解もできますか?
Tools Hubの素因数分解ツールは15桁までの整数に対応しています。それ以上の数は計算に時間がかかるため、学校の範囲では15桁以内で十分でしょう。