回路の問題で「この3つの抵抗をまとめたときの合成抵抗は?」——つまずく原因は、直列と並列で公式が逆になることに気づいていないことが多いです。直列は足し算、並列は逆数の足し算。この2つと「どちらの接続か」の見分け方を押さえれば、合成抵抗の問題は手順どおりに解けます。
この記事では、2つの公式の使い分けを、代入過程つきの例題で解説します。「並列にすると小さくなる」理由や、混在回路への拡張方法、手元の抵抗で目標の抵抗値を作るコツまであわせて紹介します。
直列と並列: 2つの公式
| 接続 | 公式 | 性質 |
|---|---|---|
| 直列 | R = R₁ + R₂ + … | 足すほど大きくなる |
| 並列 | 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ + … | 足すほど小さくなる(どの抵抗より小さい) |
直列接続は電流の経路が1本(同じ電流がすべての抵抗を流れる)で、抵抗は単純に足し合わさります。並列接続は電流が分かれるため、逆数の和を取り、最後に逆数に戻します。
見分け方の基準は「電流が分かれるか」です。1本道で順番に通るなら直列、途中で枝分かれして合流するなら並列です。計算の前には、抵抗値の単位をΩに揃えておくことも忘れないでください(kΩとΩが混ざると桁がずれます)。
なぜ並列は逆数の和になるのでしょうか。抵抗の逆数 1/R は「電流の流れやすさ(コンダクタンス)」を表し、並列接続は流れやすい道を並べて増やす操作なので、流れやすさ同士が足し合わさるためです。道が増えるほど流れやすくなる=合成抵抗は小さくなる、という直感とつながります。
2個の並列なら、逆数の和を通分して式にまとめられます。
1/R = 1/R₁ + 1/R₂ = (R₂ + R₁) ÷ (R₁R₂)
逆数を取ると R = R₁R₂ ÷ (R₁ + R₂) です。「積 ÷ 和」という形の、2個のときだけ使える便利な別式です。
実践1: 直列接続 — 足し算
100 Ω、220 Ω、330 Ωの3つの抵抗を直列につなぐと、
R = 100 + 220 + 330 = 650 Ω
です。直列はすべて足し算なので、3個でも4個でも手順は変わりません。直列接続は「電流の通り道を長くする」ことに相当し、道が長くなるぶんだけ流れにくさが積み重なる——だから足し算になる、と覚えると自然です。
実践2: 並列接続(2個) — 逆数の和
3 Ωと 6 Ωを並列につなぐと、
1/R = 1/3 + 1/6 = 2/6 + 1/6 = 3/6 = 1/2
R = 1 ÷ 1/2 = 2 Ω
逆数の和を取ったあとに逆数に戻すのを忘れないことが、並列計算で唯一注意すべき点です。2個の場合は、別式 R = R₁R₂ ÷ (R₁ + R₂) = 18 ÷ 9 = 2 Ω でも同じ値が得られ、計算の検算に使えます。
実践3: 並列接続(3個)と同一抵抗のとき
2 Ω、3 Ω、6 Ωを並列につなぐと、
1/R = 1/2 + 1/3 + 1/6 = 3/6 + 2/6 + 1/6 = 6/6 = 1
R = 1 ÷ 1 = 1 Ω
3個でも「逆数の和 → 逆数に戻す」は同じ手順です。また、同一の抵抗Rをn個つなぐときは、直列なら nR、並列なら R/n という簡単な形になります。たとえば9 Ωを3個並列にすると 9/3 = 3 Ω です。
混在回路は段階的に潰す
直列と並列が混ざった回路は、部分的なまとまりごとに合成して、段階的に1つの抵抗へ潰します。たとえば「3 Ωと 6 Ωの並列」に「3 Ω」が直列につながる回路なら、まず並列部分を合成して 2 Ω、次に直列の 3 Ω を足して 5 Ω という具合です。いきなり全体を1つの式にしようとせず、回路図を部分的な塊に区切るのがミスを減らすコツです。
並列にすると小さくなる理由
並列接続は電流の「通り道を増やす」ことに相当します。道が増えれば電流は流れやすくなり、合成抵抗は小さくなります。実際、並列の合成抵抗は必ずどの1つの抵抗よりも小さくなります。この性質は答え合わせに使えます。計算結果が入力のどの値より大きければ、公式を取り違えています。
合成抵抗の先: オームの法則との接続
合成抵抗が分かると、回路全体の計算に進めます。オームの法則 V = RI に全体の電圧 V と合成抵抗 R を入れると、回路全体に流れる電流 I が求まります。たとえば合成抵抗 650 Ω に 9 V の電池をつなぐと、I = 9 ÷ 650 ≈ 0.0138 A(約13.8 mA)です。回路の問題は「まず合成抵抗、次にオームの法則」という2段階が定石になります。
よくある3つの間違い: ① 並列なのに足し算を使う(R = 3 + 6 = 9 Ω は直列の答え。並列の正解は2 Ω)。② 逆数の和を取ったあと、逆数に戻すのを忘れる(1/2 のまま答えにしない)。③ 直列と並列が混ざった回路を、1発の公式で計算しようとする。混在回路は部分的なまとまりごとに合成して、段階的に潰していきます。
ツールで合成抵抗を確かめる
手計算の答え合わせにはTools Hubの合成抵抗計算ツールが使えます。直列・並列を選んで2〜4個の抵抗値を入れると、公式への代入過程つきで合成抵抗が表示されます。並列2個のときは R₁R₂ ÷ (R₁ + R₂) の別式との一致も確認できます。
使い方(3ステップ)
接続方式を選ぶ
「直列接続」「並列接続」のタブから選びます。回路図で電流が分かれていれば並列です。
抵抗値を入力する
R₁・R₂(と必要ならR₃・R₄)に抵抗値を入力します。「並列 3,6」のような例題ボタンもあります。
合成抵抗と代入過程を読む
合成抵抗が大きな数字で表示され、「計算の過程」に公式への代入が並びます。並列2個では別式との一致も見られます。
この記事で紹介したツール
合成抵抗計算ツール
直列・並列の合成抵抗を代入過程つきで計算。2〜4個の抵抗に対応し、並列2個の別式検算もできる無料ツールです。
記事の例を確かめるには、ツールで「並列接続」タブを選び 3 と 6 を入力します。合成抵抗 2 Ω が表示され、「計算の過程」に 1/3 + 1/6 と別式 18 ÷ 9 の両方が現れます。物理の答えでは有効数字の処理も重要なので、丸めが不安なときは有効数字ツールで桁数を確認してください。
まとめ
- 直列は足し算 R = R₁ + R₂ + …、並列は逆数の和 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ + …(2個なら積÷和)
- 並列の計算では、逆数の和を取ったあとに逆数へ戻すのを忘れない
- 並列の合成抵抗は必ずどの1つの抵抗よりも小さくなる(答え合わせに使える)
- 同一抵抗Rのn個は直列 nR、並列 R/n
- 混在回路は部分ごとに合成して段階的に潰す(例: 並列の2 Ωに3 Ωを直列で5 Ω)
- 合成抵抗が分かれば、オームの法則 V = RI で回路全体の電流まで計算できる
よくある質問
なぜ並列にすると抵抗が小さくなるのですか?
並列接続は電流の通り道を増やすことに相当します。道が増えるほど流れやすくなるため、合成抵抗は小さくなります。家の中で電気製品を複数使うと消費電流が増えるのは、この「並列で抵抗が下がる」性質の帰結です。
直列と並列が混ざった回路はどう解けばいいですか?
部分的なまとまりごとに分けて、段階的に合成します。たとえば「R₁とR₂の並列」がR₃と直列につながる回路なら、まず並列部分を1つの抵抗にまとめ、その値とR₃を直列に足します。ツールは1段階ずつの計算に使えます。
同じ抵抗をたくさんつなぎたいときは?
同一の抵抗Rをn個つなぐ場合、直列なら nR、並列なら R/n という簡単な式が使えます。手持ちの抵抗から特定の値を作りたいとき(例: 9 Ωを3個並列で3 Ω)に便利です。
合成抵抗とオームの法則はどう関係しますか?
合成抵抗が分かれば、オームの法則 V = RI に全体の電圧を入れて全体の電流が求まり、そこから各部分の電圧・電流を戻していけます。合成抵抗は回路計算の入り口になる値です。
参考資料
- OpenStax, College Physics 2e, Section 21.1 “Resistors in Series and Parallel”(直列・並列の合成抵抗の式と性質、直並列混在回路): openstax.org