「5人の中から2人を選ぶ方法は何通り?……で、並び順まで数えるの?」——数学Aの順列・組合せでは、この「順番を区別するかどうか」の見分けでつまずく人が多くいます。くじの当選確率を計算したいときも、まず順列か組合せかを選ぶ必要があります。
この記事では、順列(nPr)と組合せ(nCr)の違いの判断基準を最初に示し、そのうえで例題の計算、両者の関係式、ロト6の1等確率の求め方までを、途中式つきで解説します。最後に、手計算の答え合わせに使える無料ツールの使い方も紹介します。
順列と組合せの基本の違い
両者の違いは、たった1つの質問で判断できます。
選んだあと、「並び方」まで1通りとして数えるか?
数えるなら順列、数えないなら組合せです。
| 項目 | 順列(nPr) | 組合せ(nCr) |
|---|---|---|
| 数えるもの | n個からr個選んで並べる並べ方 | n個からr個を選ぶだけの選び方 |
| 並び順 | 区別する(A,B と B,A は別) | 区別しない(A,B と B,A は同じ) |
| 公式 | nPr = n! / (n − r)! | nCr = n! / (r! × (n − r)!) |
| 例(5人から2人) | 5P2 = 20通り | 5C2 = 10通り |
式の形も見比べると、組合せの分母に余分な r! がかかっているのが分かります。これは「同じ選び方でも並び順のぶんだけ重複して数えてしまう」のを打ち消すための割り算です。これが、両者をつなぐ次の関係式の正体です。
nPr = nCr × r!
つまり順列は、組合せに「並び順の数(r!)」を掛けたものと一致します。どちらを求めたあともう片方が必要になったときは、この式で換算できます。
身近な場面で練習してみましょう。「並び方を区別するか?」で判断すると、次のように分けられます。
| 場面 | 判断 | 数え方 |
|---|---|---|
| クラス10人から委員長を1人選ぶ | 並び方に意味がない | 10C1 = 10通り |
| 5人を1列の席順に並べる | 並び方がすべて違う結果 | 5P5 = 5! = 120通り |
| トランプ52枚から5枚を選ぶ | 手札の並び順は関係ない | 52C5 = 2,598,960通り |
| 1位・2位・3位を10人から選ぶ | 順位の入れ替わりは別の結果 | 10P3 = 720通り |
階乗の記号:n!(階乗)は n × (n−1) × ⋯ × 1 を表し、0! = 1 と約束します。「1個も選ばない並べ方は1通り」と考えると自然な規約で、公式に n = r や r = 0 を入れたときも矛盾しません。
実践:例題で手計算してみる
例1:順列 — 5人から2人を選んで並べる
先頭の選び方が5通り、その次が残り4通りなので、5P2 = 5 × 4 = 20通りです。公式でも確認すると、5! / (5 − 2)! = 120 / 6 = 20 で一致します。
例2:組合せ — 5人から2人を選ぶ(順番は問わない)
例1の20通りには「A,B」と「B,A」のような並び順違いが含まれています。2人の場合、1つの選び方あたり 2! = 2 通りの並びがあるので、5C2 = 20 ÷ 2 = 10通りです。公式では 5! / (2! × 3!) = 120 / (2 × 6) = 10 となり、同じ結果が得られます。先ほどの関係式 5P2 = 5C2 × 2! = 10 × 2 = 20 も確かめられます。
例3:ロト6の1等確率
ロト6は「43個の数字から6個を選ぶ」くじで、1等の当選条件は本数字6個すべてと一致することです(みずほ銀行のロト6公式ページに当選条件の記載があります)。選ぶだけの数え方なので組合せの出番です。
43C6 = 6,096,454
したがって、1口が1等に当たる確率は6,096,454分の1です。この数値は自力では掛け算しきれない桁ですが、あとで紹介するツールなら一瞬で出せます。
ちなみに順列の 43P6 で数えると 6,096,454 × 6! = 約43.9億通りとなり、同じ選び方を並び順のぶんだけ重複して数えることになります。当せんの判定は数字の組み合わせだけで行われるため、この場面では組合せが正しい数え方です。
組合せの総数が分かると、確率の計算にそのままつなげられます。すべての選び方が同じくらい起こりやすいなら、「ある特定の選び方が当たる確率」は「1 ÷ 総数」で表せるからです。ロト6の6,096,454分の1はこの形ですし、52枚から5枚引いたときに特定の1組になる確率も、同じく2,598,960分の1と求められます。
手計算のコツ:組合せから順列を作る
「選んでから並べる」2段階に分ける解法も覚えておくと便利です。たとえば「10人から3人を選び、1・2・3位として発表する」場合、まず選び方 10C3 = 120通りを求め、そのあとで並び順 3! = 6 通りを掛けて、10P3 = 120 × 6 = 720通りと出せます。一度に順列の公式を代入するより、それぞれの意味が明確になり、間違いに気づきやすくなります。43C6 のような大きな数でも、式の中で 43 × 42 × 41 × 40 × 39 × 38 ÷ 720 の形に整理してから計算を始めると、途中の数字が大きくなりすぎず済みます。
よくある3つの間違い:①「並べる」問題なのに組合せを使う(人数の席順など、並びが意味を持つ場面は順列)。② n < r で入力する(5人から7人は選べない。公式の分母が負の階乗になり計算不能)。③ 同じものを重複して選ぶ場合に nCr を使う(重複組合せは別の公式が必要で、本ツールの対象外)。いずれも「n ≥ r ≥ 0、選ぶ対象はすべて区別できる」という条件を確認すれば防げます。
ツールで答え合わせする
手計算の検算や、大きな数の確認にはTools Hubの順列・組合せ計算ツールが使えます。計算はBigInt(任意精度整数)で行われるため、約150桁の数でも誤差なく出力され、公式への代入から結果までの途中式が表示されます。入力が送信されることもありません。
使い方(3ステップ)
計算の種類を選ぶ
「組合せ(nCr)」「順列(nPr)」「階乗(n!)」の3つのタブから選びます。選ぶだけなら組合せ、並べるなら順列です。
n・rを入力する
全体の個数nと選ぶ個数rを入力します。ロト6なら「43C6(ロト6)」の例題ボタンを押すと自動で入ります。
結果と途中式を読む
結果カードに総数(例: 6,096,454)、下の「計算の過程」に公式への代入が表示されます。「結果をコピー」ボタンでは「C(43, 6) = 6,096,454」の形式でコピーできます。
この記事で紹介したツール
順列・組合せ計算ツール
nCr・nPr・階乗を途中式つきで計算。ロト6の例題ボタンつきで、BigIntによる厳密計算に対応した無料ツールです。
分数の約分の考え方をさらに深掘りしたい場合は「分数計算のやり方」、選び方の総数を確率以外に活かすデータの集計は「平均・中央値・標準偏差の計算方法」が参考になります。
記事の例題をそのまま試すなら、ツールのモードを「組合せ(nCr)」にして n に 5、r に 2 を入れてください。結果カードに 10 と表示され、「計算の過程」に 5! / (2! × 3!) = 120 / (2 × 6) の代入の様子が出ます。モードを「順列(nPr)」に切り替えるだけで同じ入力のまま 20 に変わることも、両者の違いを実感できるはずです。
まとめ
- 順列は「並び方まで区別する」数え方(nPr = n!/(n−r)!)、組合せは「選ぶだけ」の数え方(nCr = n!/(r!(n−r)!))
- 迷ったら「選んだあとに並び方を数えるか?」の1点で判断する
- nPr = nCr × r! の関係があり、片方からもう片方へ換算できる
- ロト6の1等確率は、公式の当選条件(本数字6個一致)から 43C6 = 6,096,454 通りの1つとして計算できる
- 手計算の検算は、途中式が表示されるツールを使うと確実
よくある質問
0! が 1 になるのはなぜですか?
「何も選ばない(並べない)方法は1通り」だからです。この約束により、n = r のとき nPr = n! / 0! = n! となり、nC0 = 1、nCn = 1 がすべて矛盾なく成り立ちます。
なぜロト6の確率は順列ではなく組合せなんですか?
当たるかどうかは選んだ数字の組み合わせだけで決まり、申込順票の並び順は関係ないためです。並び順まで区別する 43P6 で計算すると、同じ選び方を720通り(6!)も重複して数えることになります。
順列と組合せのどちらを使うべきか迷ったときは?
「席順・並び・順位・暗号のように、入れ替わると別の結果になるか」を自問してください。別の結果になるなら順列、入れ替えても同じなら組合せです。文章題なら最後の操作が「並べる」なら順列、「選ぶ」だけなら組合せです。
大きな数も正確に計算できますか?
本ツールはBigInt(任意精度整数)で計算するため、n・rが500までの範囲なら約150桁の数でも打ち切りや誤差なく表示します。通常の関数電卓では桁あふれする領域です。
nC1 や nCn の値はどうなりますか?
nC1 = n(n個から1個選ぶ方法はn通り)、nCn = 1(全部を選ぶ方法は1通り)です。一般に nCr = nC(n−r) の対称性(5C2 = 5C3 = 10)も成り立つので、r が n に近いときは小さいほうに読み替えると計算が楽になります。
参考資料
- OpenStax, College Algebra 2e, Section 9.5 “Counting Principles”(順列・組合せの公式と数え上げの原理): openstax.org
- みずほ銀行 ロト6(当せん条件・等級の公式情報): www.mizuhobank.co.jp