「sin 30° が 1/2 なのは覚えたけれど、テスト本番で忘れそう」「cos 150° はマイナス? プラス?」——三角比の学習では、値を丸暗記して忘れることと、符号の付け方を誤ることが2大つまずきポイントです。
この記事の答えを先に言うと、特別な角(0°・30°・45°・60°・90°)の値は、2種類の直角三角形を描けばすべて導けるので、暗記量は最小で済みます。この記事では三角形からの導き方、度とラジアンの変換、鈍角の値の読み解き方を順に解説し、最後に手計算の答え合わせに使える無料ツールを紹介します。
三角比の定義: 辺の比で読む
直角三角形において、注目する角 θ に対して、sin・cos・tan は次の辺の比として定義されます。
| 三角比 | 定義 |
|---|---|
| sin θ | 対辺 ÷ 斜辺 |
| cos θ | 隣辺 ÷ 斜辺 |
| tan θ | 対辺 ÷ 隣辺 |
定義さえ押さえれば、あとは「三角形の辺の長さを数えるだけ」で値が出せます。では、値が確定する2つの三角形を見てみましょう。
30°と60°: 1 : √3 : 2 の直角三角形
30°と60°の値は、一辺が 1 : √3 : 2 の直角三角形(正三角形を半分に割った形)から導きます。
この比率の正体は、辺2の正三角形を頂点から中線で割ったものです。底辺が半分になって1ずつになり、高さ h は三平方の定理(ピタゴラスの定理)から 1² + h² = 2² を解いて h = √3 と求まります。
- 斜辺を2、30°に対辺を1、隣辺を√3 とおくと:
- sin 30° = 1/2(対辺1 ÷ 斜辺2)
- cos 30° = √3/2(隣辺√3 ÷ 斜辺2)
- tan 30° = 1/√3 = √3/3(分母の有理化で√3/3と書くのが慣例)
- 角を60°に読み替えると対辺と隣辺が入れ替わり、sin 60° = √3/2、cos 60° = 1/2、tan 60° = √3
45°: 1 : 1 : √2 の直角三角形
45°は、二等辺直角三角形(1 : 1 : √2)から導きます。
- sin 45° = 1/√2 = √2/2
- cos 45° = √2/2
- tan 45° = 1/1 = 1
対辺と隣辺が等しいので、sin と cos が等しくなるのもこの図から読み取れます。さらに、0°と90°は「三角形がつぶれた状態」として考えれば、sin 0° = 0、cos 0° = 1、sin 90° = 1、cos 90° = 0 です。tan 90° は対辺÷隣辺 = 1÷0 となり割り算が成立しないため定義されません。
度とラジアンの変換
ラジアンは「半径1の円で、弧の長さがそのまま角度の値になる」単位で、180° = π(ラジアン)という関係が基準です。度 θ をラジアンに直すには θ × π/180 を掛けます。
ラジアンを使うと式がすっきりするため、数学でも物理でもこちらが標準です。たとえば半径 r の円で中心角 θ に対する弧の長さは s = rθ となり、θ をラジアンで書けば係数が要りません。度で書くと s = r × θ × π/180 と、変換の係数が式に混ざってしまいます。
| 度 | ラジアン |
|---|---|
| 30° | π/6 |
| 45° | π/4 |
| 60° | π/3 |
| 90° | π/2 |
| 120° | 2π/3 |
| 150° | 5π/6 |
| 180° | π |
たとえば 30° は 30 × π/180 = π/6 です。逆にラジアンから度へは 180/π を掛けます。電卓やツールで値がおかしくなるときの多くは、この単位の設定ミスです。
鈍角の値: 象限と基準角
90°を超える角は、象限の符号 + 基準角(鋭角に直した角)で読み解きます。第2象限(90°〜180°)では sin だけが正で、cos と tan は負。たとえば cos 150° は、
- 150° = 180° − 30° なので基準角は 30°
- 第2象限なので cos は負
- よって cos 150° = −cos 30° = −√3/2
同様に sin 150° = sin 30° = 1/2、tan 150° = −tan 30° = −√3/3 です。「値は基準角、符号は象限」という2段階が、暗記に頼らない読み方の核心です。
第3象限(180°〜270°)では tan だけが正になります。225°なら、180°を引いた 45° が基準角で、sin 225° = −√2/2、cos 225° = −√2/2、tan 225° = (−√2/2) ÷ (−√2/2) = 1 です。負どうしの割り算で符号が打ち消されるため、tan の符号は第1象限から順に +、−、+、− と現れます。
よくある3つの間違い: ① 電卓の単位モードが度とラジアンで合っていない(sin π が 0 にならず 0.894 などになる場合はモードを疑う)。② 90°や270°で tan を計算しようとする(cos が 0 のため定義されない)。③ 第2象限で cos の符号を付け忘れる。いずれも「単位の確認 → 符号の確認」を習慣にすれば防げます。
ツールで値を確認する
手計算の答え合わせにはTools Hubの三角関数計算ツールが使えます。角度を入力すると sin・cos・tan が一度に表示され、特別な角は 1/2 や √3/2 のような厳密な値で出ます。度とラジアンの両方の単位に対応し、pi/6 のような入力も可能です。
使い方(3ステップ)
単位を選ぶ
「度(°)」と「ラジアン」の2つのタブから入力の単位を選びます。問題文の単位に合わせてください。
角度を入力する
数値(例: 150)またはpiを含む式(例: 5pi/6)を入力します。30°・45°・60°・90°の例題ボタンもあります。
値と読み解きを確認する
sin・cos・tanの値に加えて、もう一方の単位への変換、象限と符号、基準角の説明が表示されます。手計算の「符号は合っているか」まで確認できます。
この記事で紹介したツール
三角関数計算ツール
sin・cos・tanを一度に表示し、特別な角は厳密値で出力。度とラジアンの両対応、象限と基準角の表示つきの無料ツールです。
記事の例を確かめるには、ツールで単位「度(°)」を選び「150」と入力します。sin が 1/2、cos が −√3/2、tan が −√3/3 と表示され、「鋭角への直し方」に基準角30°の説明が出ます。単位を「ラジアン」に切り替えて「pi/6」と入力すれば、同じく sin 1/2 が得られます。
図形の式に三角比を代入する機会が多い場合は「平均・中央値・標準偏差の計算方法」のようなデータ整理の記事や、分数や根号の整理そのものは「分数計算のやり方」が役立ちます。
まとめ
- 特別な角の値は、1 : √3 : 2 と 1 : 1 : √2 の2つの直角三角形を描けばすべて導ける
- 180° = π を基準に、度 × π/180 でラジアンへ変換する
- 90°を超える角は「値は基準角、符号は象限」の2段階で読む(第2象限は sin だけ正)
- tan 90° は cos = 0 のため定義されない。値がおかしいときは単位モードを疑う
よくある質問
どうして暗記より「導く」ほうがいいのですか?
導き方を覚えておけば値を忘れても再構成できるからです。特別な角の値は2種類の三角形に帰着するため、暗記するのは「三角形の比率」と「定義の3つの比」だけで済みます。
sin 90° が 1 になる理由を図で説明できますか?
半径1の円(単位円)に角度90°で立った点は、ちょうど円のいちばん上に来ます。sin は高さなので 1、cos は横の位置なので 0 です。単位円で読むと象限の符号も一緒に確認できます。
tan 90° はなぜ計算できないのですか?
tan = sin/cos であり、90°では cos = 0 となるため割り算ができません。数値的には限りなく大きくなる(グラフでは漸近線に向かう)だけで、値としては存在しません。
電卓のモードが度かラジアンか、どうやって確かめればいいですか?
sin 180 を計算してみて 0 になれば「度」、ほぼ 0 になれば「ラジアン」です(sin π = 0)。ツールでは単位を明示的に選ぶため、この取り違えが起きにくくなっています。
参考資料
- OpenStax, Algebra and Trigonometry 2e, Section 7.1 “Angles”(度とラジアンの変換、基準角): openstax.org
- OpenStax, Algebra and Trigonometry 2e, Section 7.2 “Right Triangle Trigonometry”(三角比の定義と特別な角の値): openstax.org