「毎月1万円を積み立てたら、10年後にはいくらになる?」「複利って言葉は知っているけど、実際どう計算するの?」——資産形成を考えるとき、将来額の目安を自分で出せるかどうかは、計画の立てやすさを大きく左右します。

この記事では、複利の仕組みと一括運用・毎月積立それぞれの計算式を解説し、毎月1万円の積立を計算例として手順どおりに求めます。金利と期間が将来額に与える影響の比較表や、複利の威力を直感的に知る「72の法則」も紹介します。

複利とは?単利との違い

複利とは、運用で生じた收益を元本に再加算し、その分にもさらに收益が生じる仕組みです。対になる概念が単利で、收益は元本に再加算されず、常に最初の元本だけを対象に計算されます。

方式 仕組み 10年後の伸び方
単利 元本のみに收益が付く 直線的に増える
複利 元本+收益に收益が付く 曲線を描いて加速する

複利の伸びが曲線になるのは、「收益に收益が付く」ことが繰り返されるためです。期間が長いほどこの効果は大きくなり、単利との差が開いていきます。

なお、複利の仕組みは借入にも働きます。ローンの残高に金利がかかり、未払いの利息がさらに利息を生むのは、複利と同じ構造です。運用では味方、借入では敵になる。だからこそ、複利の計算方法を知っておくことは、資産形成と借り入れの両方の判断に役立ちます。

計算式

複利計算には、運用のしかたに応じて2つの式を使い分けます。

一括で運用する場合(元本のみ):

将来額 = 元本 × (1 + 月利率)^n

毎月積立する場合(元本+積立):

将来額 = 元本 × (1 + 月利率)^n + 積立額 × ((1 + 月利率)^n − 1) ÷ 月利率

ここで、月利率は年利率÷12、nは運用月数です。積立部分の式は「毎月の積立額をそれぞれ複利で成長させた合計」をまとめたもので、月利率が0%の場合は単純に「元本 + 積立額 × 回数」になります。

月次複利とは:利息や收益の付くタイミングは商品によって異なりますが、この記事では毎月複利する(月次複利)前提で計算します。銀行預金の複利は年単位の商品もあります。同じ年利率でも複利のタイミングで結果が変わるため、比較するときは前提を揃えてください。

計算例:毎月1万円を年3%で10年間積み立てた場合

毎月1万円、年利率3%、運用期間10年(120か月)の積立を計算します。初期額は0円とします。

  1. 月利率を出す: 3% ÷ 12 = 0.25%(0.0025)
  2. (1 + 月利率)の120乗: 1.0025の120乗 ≒ 1.34935
  3. 積立部分の将来額: 10,000 × (1.34935 − 1) ÷ 0.0025 ≒ 1,397,414円
  4. 投入元本: 10,000円 × 120回 = 1,200,000円
  5. 運用收益: 1,397,414 − 1,200,000 = 約197,414円

10年後の評価額は約1,397,414円になり、手もとに積み立てた元本1,200,000円に対して、約197,414円が運用收益として上乗せされます。これが複利の効果です。年利率0%であれば評価額は1,200,000円のままなので、差額の197,414円がすべて複利が生んだ分です。

初期額がある場合は、式の「元本 × (1 + 月利率)^n」の部分が効いてきます。たとえば初期額100万円を年5%・5年(60か月)で運用すると、評価額は約1,283,359円になり、運用収益は約283,359円です。積立なしでも複利は機能しますが、初期額と積立を組み合わせると、両方の成長分が合わさって評価額の伸びが大きくなります。

金利と期間が将来額に与える影響

毎月1万円の積立で、年利率と期間ごとの将来額(評価額)を比較します。

年利率 10年 20年 30年
1% 約1,261,499円 約2,655,612円 約4,196,282円
3% 約1,397,414円 約3,283,020円 約5,827,369円
5% 約1,552,823円 約4,110,337円 約8,322,586円
7% 約1,730,848円 約5,209,267円 約12,199,710円

表の読み方:投入元本はどの列でも120万円(10年)・240万円(20年)・360万円(30年)で共通です。差として表れるのが運用收益で、利率が高く、期間が長いほど、收益の伸びが加速します。30年×7%の列では、収益が元本を大きく上回っています。

複利の威力を知る「72の法則」

元本が約2倍になるまでの年数は、「72 ÷ 年利率」で概算できます。年3%なら約24年、年5%なら約14年、年7%なら約10年です。正確な値ではありませんが、利率と期間の関係をつかむ目安として広く知られています。電卓ですぐ計算できるので、利率の違う商品を見比べるときの尺度にしてみてください。

計算は税金・変動を含まない概算です:この記事の計算は税金や手数料を考慮せず、利率を一定と仮定しています。実際の投資では価格変動により評価額は上下し、運用收益には税がかかるのが一般です。また、元本が減るリスクのある商品もあり、運用成果を保証するものではありません。商品選択の判断は、税制や商品特性を踏まえて行ってください。

ツールで複利を計算する

式を手で解くのは手間なので、通常はツールに任せるのが簡単です。Tools Hubの複利・積立計算ツールでは、初期額と毎月の積立額、年利率、運用期間を入力すると、最終評価額・投入元本総額・運用収益に加えて、年ごとの元本投入と評価額の推移表が表示されます。計算はすべてブラウザ内で完結し、入力内容が送信されることはありません。

使い方(3ステップ)

1

初期額と積立額を入力

複利・積立計算ツールを開き、最初に運用する金額と毎月の積立額を入力します。どちらか一方だけでも計算できます。

2

利率と期間を指定

想定の年利率と、運用期間(年と追加月数)を指定します。利率を変えて再計算すれば、収益への影響も比較できます。

3

経過表で成長を確認

最終評価額とともに、年ごとの元本投入・運用収益・評価額の推移を確認します。収益が元本の投入を上回る年がいつからかが一目で分かります。

この記事で紹介したツール

複利・積立計算ツール

最終評価額・運用収益・年別の推移表を即時表示。ブラウザで完結・無料・登録不要です。

使ってみる

経過表では、同じ「1年」でも初期の運用収益は小さく、後年になるほど大きく増えます。これは残高そのものが大きくなっている証拠で、複利が加速度的に働いていることを示しています。途中の年で評価額が下がる年があっても、この表はあくまで利率一定の仮定での計算という点に注意してください。

借入がある場合は、ローン返済計算ツールで月々の返済額と利息総額を確認できます。借りる利息と運用の收益を同じ複利の視点で見比べると、繰上返済と積立の優先順位を考える材料になります。計算方法の詳細はローン返済の計算方法の記事で解説しています。

まとめ

  • 複利は收益を元本に再加算する仕組みで、期間が長いほど単利との差が開く
  • 一括運用は「元本 × (1+月利率)^n」、積立は積立部分の式を足して計算する
  • 毎月1万円・年3%・10年なら評価額約1,397,414円で、収益は約197,414円
  • 利率と期間の増加に対して、将来額は加速度的に伸びる(表を参照)
  • 「72 ÷ 年利率」で元本2倍までの年数を概算できる
  • Tools Hubの複利・積立計算ツールなら、年ごとの推移つきで無料・ブラウザ完結

まずは自分の毎月の積立額と希望期間を入れて、利率を変えながら将来額を比べてみてください。

よくある質問

単利と複利、どちらが得ですか?

同じ利率・期間であれば、複利のほうが将来額は大きくなります。収益を元本に再加算して次の收益を生むためです。ただし実際の商品では税金や手数料の違いが効くため、手取りベースで比較することが大切です。

「72の法則」とは何ですか?

元本が約2倍になるまでの期間を「72 ÷ 年利率(%)」で概算する経験則です。年3%なら約24年、年6%なら約12年、年9%なら約8年です。厳密な計算ではありませんが、利率と複利の効果の関係をつかむ目安として使われています。

毎月積立の複利の計算式を教えてください。

「積立額 × ((1 + 月利率)^n − 1) ÷ 月利率」で積立部分の将来額が求まります(nは月数)。月利率が0%の場合は「積立額 × n」です。初期額もある場合は「元本 × (1 + 月利率)^n」を加算してください。

計算に税金は含まれますか?

含まれません。この記事とツールの計算は税引前の概算です。実際の投資では運用收益への課税や商品ごとの手数料が結果に影響するため、税引後の数字はご自身の税率と商品条件で別途確認してください。

参考資料