この記事は、家電の電気代を自分で計算してみたい人、中学理科・高校物理で電力と電力量を学んでいる人、節電の優先順位を考えたい人向けです。
「電気代の計算式が分からない」「WとkWhの違いが説明できない」「目安の31円/kWhはどこから来た数字なのか」。電気代の計算は、電力(W・kW)と電力量(kWh)の区別と、単価の確認の2つができると迷わなくなります。この記事では、計算手順、単価の考え方、家電の例、検針票と合わない理由、無料ツールでの検算までをまとめます。
結論:電気代はこの式で求められる
| 求めるもの | 式 | 単位 |
|---|---|---|
| 電力量 | 消費電力(kW)× 使用時間(h) | kWh(キロワット時) |
| 1回・1日の電気代 | 電力量(kWh)× 単価(円/kWh) | 円 |
| 1か月の電気代 | 1日の電力量 × 使用日数 × 単価 | 円 |
たとえば1200 W(1.2 kW)のドライヤーを0.2時間(12分)使うと、電力量は1.2 × 0.2 = 0.24 kWh、単価31円/kWhなら電気代は0.24 × 31 = 7.44円です。1か月(30日)なら0.24 × 30 = 7.2 kWh、223.2円になります。
**Wは「電力」(使う勢い)、Wh・kWhは「電力量」(使った量)**です。1000 Wの機器を1時間使ったときの電力量が1 kWhで、これは電気代の単価(円/kWh)と直接かけ合わせられる量です。
W・kW・kWh・Jの関係
| 単位 | 意味 | 換算 |
|---|---|---|
| W(ワット) | 電力。1秒あたりに使うエネルギー | 1000 W = 1 kW |
| Wh(ワット時) | 電力量。1 Wを1時間使った量 | 1000 Wh = 1 kWh |
| kWh(キロワット時) | 電力量。電気代の単価の基準 | 1 kWh = 3.6×10⁶ J |
| J(ジュール) | エネルギー(仕事)の単位 | 1 Wh = 3600 J |
1 kWh = 3.6×10⁶ J = 3.6 MJ は定義から導ける関係です(NISTの換算表)。熱量の単位に直すと 1 kWh ≈ 860 kcal(1 cal = 4.184 J)で、電気ストーブ1 kWhの熱量がおよそ860 kcalにあたります。熱量の計算は熱量と比熱の計算方法で確認できます。
単価はどこを見る?31円/kWhの意味
電気代の単価は、契約している電力会社・料金プラン・使用量で変わります。カタログや記事でよく使われる31円/kWhは、全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が定める目安単価で、2022年7月22日に27円/kWhから改定された値です(家電公取協のQ&A)。家電の電気代を比較するときの共通のものさしとして使われています。
自分の家の実際の単価は、毎月の検針票や電力会社のマイページにある「電力量料金単価(円/kWh)」を確認してください。なお、電気料金は電力量料金だけでは決まりません。基本料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金、税金などが加わります(資源エネルギー庁)。この記事とツールの計算は電力量料金の部分だけを求めるものです。
例題1:ドライヤー1200 Wを1日12分
- 消費電力:1200 W = 1.2 kW
- 1日の電力量:1.2 kW × 0.2 h = 0.24 kWh
- 1日の電気代:0.24 kWh × 31円/kWh = 7.44円
- 1か月(30日):0.24 × 30 = 7.2 kWh、7.44 × 30 = 223.2円
- 1年(365日):約2,716円
毎日使う家電は、1日の数円が1年では数千円になります。まず1日の電力量を出すのが、電気代を見積もる近道です。
例題2:エアコン600 Wを1日8時間
- 消費電力:600 W = 0.6 kW
- 1日の電力量:0.6 × 8 = 4.8 kWh
- 1日の電気代:4.8 × 31 = 148.8円
- 1か月(30日):144 kWh、4,464円
- 1年(365日):約54,300円(1年中同じ使い方をした場合の単純計算)
エアコンの実際の消費電力は、設定温度・外気温・部屋の広さで大きく変わります。この計算は「平均600 Wで8時間動いた場合」の概算として読んでください。カタログの「期間消費電力量」(kWh/年)が分かる場合は、そちらを使う方が実態に近くなります。
例題3:冷蔵庫は「24時間×消費電力」では合わない
冷蔵庫のカタログに「消費電力150 W」と書かれていても、圧縮機は間欠運転するため、24時間ずっと150 Wを使い続けるわけではありません。150 W × 24 h = 3.6 kWh/日(111.6円/日)は最大側の見積もりです。
実際に近い値は、製品の「年間消費電力量」から求めます。例として年間消費電力量200 kWhの冷蔵庫なら、
- 1年:200 kWh × 31円/kWh = 6,200円
- 1か月:6,200 ÷ 12 ≈ 約517円
- 1日:200 × 31 ÷ 365 ≈ 17円
冷蔵庫のように連続運転する機器は、この「年間消費電力量→1日・1か月」の順で計算するのがおすすめです。
検針票と合わないときに確認すること
- 基本料金・燃料費調整額・再エネ賦課金・税金:この計算には含まれていません
- 複数機器の合計:計算したのは1台分です。家全体の電気代はすべての機器の合計になります
- 待機電力:テレビやレコーダーなどの待機電力が加わります
- 季節変動:エアコンや暖房器具は月ごとの差が大きくなります
- 単価の違い:契約プランの単価と、計算に使った31円/kWhが違う可能性があります
消費電力Wの調べ方
- 本体の銘板シール:製品の底面や背面に「消費電力 〇〇 W」と表示されています
- 取扱説明書・カタログ:運転モードごとの消費電力が載っていることもあります
- 電流Aと電圧Vから概算:単相100 Vの機器なら P = V × I で、10 A × 100 V = 1000 W。ただし交流モーターは力率の影響で実際の消費電力は小さくなることがあります(オームの法則の計算方法)
ツールで検算する
手計算の答え合わせには、Tools Hubの電気代・電力量の計算ツールが使えます。
例題1を確かめる
「計算の種類」が「電気代(消費電力と使用時間)」の状態で「例題で試す」の「ドライヤー1200W 12分/日」を押すと、1か月223.2円、1日7.44円、1年2,716円、1か月の電力量7.2 kWhが表示されます。計算の過程には「P = 1,200 W = 1.2 kW」「1日の電力量 = 1.2 kW × 0.2 h = 0.24 kWh」が並びます。
単価と使用時間を変えて比べる
単価(円/kWh)は「31」を自分の契約単価に変えられます。使用時間を2倍にすると電気代も2倍になります。「エアコン600W 8時間/日」を押すと1か月4,464円、「冷蔵庫150W 24時間」なら1か月3,348円(連続運転と仮定した最大側)です。消費電力の入力は「電流Aと電圧Vから」に切り替えることもできます。
電力量を別の単位に換算する
「計算の種類」を「電力量の単位換算」にすると、1 kWh = 3.6×10⁶ J = 1,000 Wh = 860.4 kcalのように換算できます。電力量(Wh・kWh)を先に求めてから、熱量(J・kcal)に直して確認したいときに使ってください。
この記事で紹介したツール
電気代・電力量の計算
消費電力(WまたはA×V)と使用時間から、kWhと電気代を1日・1か月・1年で計算。単価の変更と単位換算にも対応しています。
適用条件と限界
- この計算は電力量料金の概算です。基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金・税金は含まれません
- 家電の消費電力は運転状況で変わり、特にエアコン・冷蔵庫・洗濯機の差が大きくなります。連続運転する機器は「年間消費電力量」を使う方が実態に近くなります
- 1か月は30日、1年は365日として計算しています。実際の請求期間は月によって異なります
- 単価は契約プラン・使用量・時期で変わります。検針票やマイページの値を確認してください
- 電力量の単位換算には 1 kWh = 3.6×10⁶ J、1 Wh = 3600 J、1 cal = 4.184 J を使っています
よくある質問
kWとkWhは何が違いますか?
kWは電力(エネルギーの使用速度)、kWhは電力量(使った量)です。1000 Wの機器を1時間使うと1 kWhになります。電気代の単価は1 kWhあたりで示されるため、計算では「kW × 時間」でkWhに直してから単価を掛けます。
31円/kWhは何の数字ですか?
全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電力料金の目安単価です。2022年7月22日改定で31円/kWh(税込)になりました。カタログや記事の電気代比較に使われる共通の値で、実際の契約単価とは異なります。
検針票と計算結果が合いません。なぜですか?
この計算は電力量料金のみで、基本料金・燃料費調整額・再エネ賦課金・税金を含まないためです。また家全体の電気代には複数の家電と待機電力が含まれます。単価の違いや使用時間の見積もりの誤差も影響します。
エアコンの電気代を正確に出したいときは?
カタログやメーカーサイトの「期間消費電力量」(kWh/年、JIS C 9612の条件による値)を確認し、1か月なら÷12、1日なら÷365で電力量に直して単価を掛けます。実使用は設定温度や外気温で変わるため、目安として扱います。
待機電力も計算できますか?
待機電力のW数が分かる場合は、消費電力にその値、使用時間に24、使用日数に30を入れると1か月分を概算できます。実際の待機電力は機器によって異なり、測定器がない場合は取扱説明書の値を確認してください。
1 kWhを熱量に換算すると何kcalですか?
1 kWh = 3.6×10⁶ J ≈ 860 kcalです(1 cal = 4.184 J)。電気ストーブや電気ケトルの「電気→熱」の量を、熱量の計算と比較するときに使えます。
この記事の確認範囲
2026年10月6日に、定義と換算を参考資料と照合し、例題の電力量・電気代を手計算で再確認しました(0.24 kWh/日→7.44円/日→223.2円/月、4.8 kWh/日→148.8円/日→4,464円/月、150 W×24 h→3.6 kWh/日、年間200 kWh→約517円/月、1 kWh→3.6×10⁶ J=860.4 kcal)。例題の数値は学習用の計算例で、実際の測定値ではありません。ツールの入力項目と表示も確認対象としています。